広島電鉄の鷹野橋電停近くのつけそば店。北海道産小麦を使うちぢれ太麺が売りで、できたてを楽しんでほしいと店内製麺所で毎日仕込む。佐伯頼尚、松田諭オーナーは、
「保存料や化学調味料を一切使っておらず、小麦本来の香りや甘みをダイレクトに味わえると好評です。つけダレに付けずに麺をそのまま食べる人もいます。ゴマを練りこんだ限定麺など、商品開発を自由にできるのも自家製ならではの強みです」
しょうゆダレには熱処理をしていない絞りたての生揚げしょうゆ、さば節、いりこ、真昆布、ホタテ油を配合。メンマなどの具材にもこだわり、いずれも国産品を使う。
「お客さまが気付かないところにまで手を抜かないことで、唯一無二の一杯が生まれると信じています。近年は裏メニューやスタッフの人柄など、SNSでの情報発信に力を入れ、来店頻度の向上につなげています。近く2号店のオープンを目指しており、一層まい進します」
NPOは2011年12月に設立し、当初は岸田文雄現総理大臣が理事長でした。JR横川駅の大改装を機に、広島市の職員と横川の活性化を、と話が持ち上がり、日本初の乗合バスといわれる「かよこバス」、横川シネマを中心にしたアート、サンフレッチェのファンが利用することが多いサッカーをテーマに活性化策を企画。県サッカー協会から女子サッカーチームを手伝ってほしいという声掛けもあり、12年に女子サッカーのアンジュヴィオレ広島が発足しました。
選手の住居支援として、横川の商店街ビルに選手3人が居住するほか、関係者にマンションの紹介を受けるなどお世話になっています。職場も今年は選手22人が、広島信用金庫、広島カープ球団、オタフクソース、広川、ヒロテックなどで働かせてもらっています。選手は朝7時から朝練、勤務後に筋トレやリハビリに取り組んでいます。所属するなでしこリーグ1部はセレッソ大阪堺レディースなど強豪が多く、昨年は12チーム中11位でしたが、今年は2月のサンフレッチェ広島レジーナとの練習試合で1−2と善戦するなど活躍を期待しています。
リーグ戦は年間22試合あり、広島県内では三次、東広島、尾道などでも試合を開き、ファン層拡大を図っています。試合は毎回ボランティア含め約50人が、グラウンド整備や片付けなどを担当し、チームを下支えしています。NPOでは元カープの北別府学さんと協力し、安芸太田町にキャビン付き貸し農園の北別府ファームも運営していますよ。
何と日本一になった。今後頼りになりそうな信用金庫・信用組合はどこか。収益性や地域密着度などを総合的に分析した週刊ダイヤモンドの特集「信金・信組ランキング」(1月22日号)で、「名物理事長の山本明弘理事長が率いる広島市信用組合が139組合の頂点に立った」と。預金残高7446億円、自己資本比率10.6%、不良債権比率1.7%、預貸率87%などを点数化した総合得点で86.2点を獲得し、群を抜く。
コロナ禍は地域金融機関に融資機会をもたらしたが、その目利き力がいや応なく問われる局面でもあった。特集の趣旨に「地方経済の最後の担い手である信用金庫と信用組合がコロナ禍で企業支援に奔走したか否か。財務指標を基に順位付けすることで、今後も勝ち残る信金・信組を浮き彫りにした」とある。
いつから名物になられたのか、NHKをはじめ全国区のマスコミにも度々登場し、真っ直ぐに持論を言い放つ山本理事長。日本一をどう受け止めただろうか。
「日々の積み重ねの結果だ。むろん私の力の及ぶところではない。役職員が一丸になった汗のたまもの。皆が誇りに感じてくれたら何よりうれしい。企業経営にDX(デジタル変革)などと効率化、合理化が叫ばれるが、わが信組は足で稼ぐ。非効率こそ効率的という方程式を発見した。大方の金融機関が廃止した集金をいまもこまめに続けている。外回りが一番大事なエンジン。用はなくとも用をつくって取引先を訪れる。ひょっこりとのぞくと見えなかったものが見えてくる。社長や従業員は元気か、工場の機械の音は活発か、企業が生きていることを肌で感じることができる。取引先が気軽に声を掛けてくれるようになる。頼まれたらチャンス。融資は3日のうちに応える」
システム化投資をはじめ、働く環境改善などに積極的に挑む。だが、いまも変わることなく顔と顔を合わせて耳を傾ける。リスクも取る。金融機関では異例のスピードで融資に応じるから信頼される。2022年3月期決算で19期連続増収、過去最高益を見込む。本業の融資・預金のほかは脇目もくれないシンプル経営を徹底。一朝一夕ではかなわない基本動作を重ねて実績をつくり、年々積み上げて好循環をつかんだ。
現金が底をつき、資金繰りにあえぐ取引先のことを思って一日も早く融資する。当然リスクはあり、不良債権処理などの備えなく、やみくもに決裁することはできないが、さらに足を使って鍛えた目利き力が裏付けにある。
「助けることができなければ金融機関の存在意義はない」
と言い切る山本理事長の考えがどんと構えており、みんなが動きやすい。取引先に喜んでもらえるから、やりがいが生まれてくる。
まず汗を出せ、汗の中から知恵を出せ。それができないものは去れ。松下幸之助の言葉である。1968年同信組に入り、支店長や本店営業部長などを歴任して2005年から理事長。一貫して現場重視で汗を流し、誰もが容易にまねることのできない知恵を見極めたのだろう。
5月で創業70周年。預金は5年以内、融資は7年以内に1兆円達成を目標に、いささかも油断がない。